インドネシアの新工場稼働
平成13年(2001年)2月、インドネシアに塗料製造工場「PT.Kansai Paint Indonesia」を設立しました。
これは、「グローバル化の進展」を重点方針に掲げ、中国、インド、東南アジア地区を中心に海外市場で事業を展開している関西ペイントと江口巖商店の共同出資(江口巖商店19%出資)による合弁会社です。
この年より自動車用塗料の製造販売に着手し、現地に密着した販売・サービス活動を開始しました。

PT.Kansai Paint Indonesia

PT.Kansai Paint Indonesia最初の駐在員橋本淳氏
中国進出の第一歩を印す
平成14年(2002年)4月、トヨタ自動車は経営ビジョン「2010年グローバルビジョン」を策定しました。
グローバリゼーションのさらなる推進、コスト競争力の向上に取り組み、グローバル展開を加速していきました。
北米やヨーロッパはもちろんのこと、中国での事業を重要な柱の一つとして位置づけていたトヨタ自動車は、四川省成都市に豊田通商と合弁会社を設立し、平成10年(1998年)12月より中型バスの生産を開始。
平成14年(2002年)10月より、天津の合弁会社で中国国産乗用車の生産を本格的に開始しました。
平成16年(2004年)には広州でも車両生産合弁会社を設立し、生産開始の準備を進めていきました。
こうしたトヨタ自動車の本格的な中国進出に伴い、塗料その他の原材料メーカー各社も中国での生産拠点を相次いで設立し、中国への関わりを深めていました。
当社としても傍観しているわけにはいかず、ついに中国進出の第一歩を踏み出すこととなりました。
第二の創業期
平成15年(2003年)3月、当社の舵取り役を担ってきた江口浩平社長が取締役会長に、江口勝正専務取締役が取締役社長に就任しました。
経営トップを一新したこの年を江口巖商店の「第2の創業期」と位置づけ、全社一丸となって、さらなる業績向上に努めました。
この年、当社の業績は、自動車メーカーの好調に支えられほぼ前年並みの収益を確保。
翌平成16年(2004年)も、わずかながら前年比で増収増益を達成することができました。
環境にやさしい水性塗料の時代に
1990年代に入った頃から、酸性雨やオゾン層の破壊、地球温暖化など、地球環境の悪化が指摘され、地球環境保全への関心が高まってきました。
塗料業界も例外ではなく、自動車用の中塗り・上塗り塗料は、大気汚染の原因になりやすい溶剤型塗料から、環境負荷の少ない水性塗料へと変わっていきました。
こうした環境対応型商品開発を進める自動車メーカーに対応して、関西ペイントでは高い技術開発力に裏付けられた多くの自動車用水性塗料を開発しました。
当社も、平成14年(2002年)4月に三好営業所に水性塗料保管倉庫を建設するなど、水性塗料への切り替えに力を注いでいきました。
現在も製造段階でのVOC対策は着々と進んでおり、塗装ラインにおける水性塗料の需要は、今後ますます増大するでしょう。
また、トヨタ ソアラ 430SCV Noble Color Edition コスモシルバーがJAFCA(一般社団法人日本流行色協会)からオートカラーアワーズ2003を受賞しました。

オートカラーアワーズ2003受賞
コラム:JAFCAとは
JAFCAとは
一般社団法人日本流行色協会 流行色情報センター:JAFCA(ジャフカ)
名称:一般社団法人日本流行色協会(Japan Fashion Association)
創立:昭和28年9月4日 社団法人日本流行色協会
設立認可:昭和33年7月4日 通商産業省貿易局検査デザイン課
所轄移管:平成9年7月1日 通商産業省生活産業局サービス産業課デザイン政策室
所轄移行:平成13年1月6日 経済産業省製造産業局
解散・統合:平成18年6月30日 社団法人日本流行色協会解散、平成18年7月1日 一般社団法人日本ファッション協会と統合
目的:色彩に関係のあるファッション関連事業に対し、カラートレンドをはじめとする各種色彩情報を提供することによって、商品計画や販売計画等に指針を与えることを目的とする。その活動を通じ、生活者の調和のある豊かな色彩生活の実現を図る。
会員構成:繊維・衣料品/服飾雑貨/家庭用品/学校・各種団体/リビング・家電/マスコミ/化粧品/小売業/自動車・車両関係/など幅広い業種
ISO14001認証取得
平成15年(2003年)10月10日、当社は「ISO14001」(地球環境に与える影響やリスクを低減し、継続的な改善を図るための環境マネジメントシステムの国際規格)の認証を取得しました。
もとより当社では環境保全に積極的に取り組んできましたが、この認証を一つのステップとして、環境保全活動をさらに積極的に進めていくことを期したのです。
江口巖商店の環境方針は以下の通りです。
- 当社は、塗料、塗装という分野において、メーカー、ユーザーと一体になり、環境対応材料の開発、展開を行います。
- 関連する環境法規制、条例、地域協定を遵守し、また、メーカー、ユーザー及び近隣住民の方々の声に耳を傾け、より良い環境作りのために努力します。
- より良い環境づくりのため、目的、目標を定め、全従業員に周知徹底し、全社一丸となって取組むと共に、更なるレベルアップを図るため、環境マネジメントシステムの見直しを継続的に行います。
- 当社において発生した廃棄物は、適正に処理することにより、環境汚染の防止に努めます。
中国での事業を開始
中国は、世界最大の人口を抱え、市場の将来性が大いに期待される国です。
自動車メーカーをはじめ、多くの企業、メーカーが中国での事業を重要な柱の一つと位置づけ、様々な形で事業展開を進めてきました。
トヨタ自動車でも、平成14年(2002年)10月、天津の合弁会社で中国国産乗用車の生産を開始。
平成16年(2004年)には、広州でも車両生産合弁会社を設立するなど、中国での現地生産が本格的に開始されました。
こうした動きを受け、当社は平成17年(2005年)4月21日、広州に関西塗料有限公司(関西塗料出資51%・永富塗料出資42%・江口巖商店出資7%)を設立しました。
当社にとって、大きなリスクを伴うことを承知の上での中国進出でしたが、それは同時に、当社が真のグローバル企業へ進化するための新たな挑戦でもありました。

中国広州の関西塗料有限公司
コラム;中国自動車産業
中国には世界の自動車メーカーが進出し、現地の自動車メーカーと合弁して自動車を生産した。
生産量は年々右肩上がりの生産量を示し、特に乗用車の生産が2001年から増加した。
2006年、中国の自動車総市場は722万台(世界第2位の生産規模)に達し、うち乗用車は422万台と、前年に比して130%増という著しい成長を示した。
トヨタ自動車の中国における販売実績は目覚ましい伸びを見せ、2005年には19万4千台、2006年には31万9千台へと大幅に増加し、現地生産車は28万1千台を占めた。
トヨタ自動車の中国自動車メーカーにおける販売ランキングは、2005年には9位、2006年には6位へと躍進を遂げた。
2007年に計画されていたトヨタの現地生産台数は40万台(うち広州トヨタは16万台)であった。
中部国際空港の開港
平成17年(2005年)は、当社が本拠地を置く愛知県が世界から注目を集める年となりました。
同年2月に、愛知県常滑市沖に中部国際空港「セントレア」が開港。
3月には、日本国際博覧会「愛・地球博」が開幕しました。
セントレアは、日本で初めて民間企業によって建設された国際空港で、ショッピングゾーンの選定や効率の良いレイアウト、展望風呂を設置するなど、地元をよく知る民間企業ならではの視点が活きています。
実は、このセントレアの橋梁とビル外表面には、関西ペイント、江口巖商店が納入した塗料が使われています。
ちなみに、施主が愛知県道路公社及び愛知県企業庁で、納入した塗料は常温乾燥タイプで低汚染フッ素樹脂塗料、塗装工程として下塗りを含め6工程となっており、塗装膜厚は250ミクロンとなっています。
この塗装システムは現在考えられる中で最も優れている塗装工程となっており、塗膜の耐用年数は20〜30年です。
上塗りの色は常滑焼をイメージとした色調で、海の色との調和を図るよう設計された色となっています。

当社納入の塗料を使用したセントレアの橋梁
塗料とともに創業100年
バブル経済崩壊後の長きにわたる経済の低迷期を経て、日本経済は緩やかな回復の兆しを見せていました。
平成18年(2006年)10月には、戦後最長の景気拡大を記録した「いざなぎ景気」を超える局面を迎えるなど、明るい兆しも現れていました。
当社の業績も、主要取引先である自動車産業の好調に支えられ、塗料をはじめとする化成品の販売において、過去最高の水準を達成することができました。
平成19年(2007年)、江口巖商店は創業から100年という大きな節目を迎えました。
世界経済はグローバル化が一段と進展し、競争環境は厳しさを増していました。
当社と関わりの深い自動車産業も、世界規模でのダイナミックな事業再編と生産拠点の再編が進み、市場競争が一段と激化していきました。
創業100年を機に、当社は、明治以来、連綿と築き上げてきたメーカー、ユーザーとの信頼関係を礎に、塗料というコアの部分の強さを維持・強化しつつ、時代のニーズに応じた多様なビジネス展開を図っていこうと、変化の激しい時代においても持続的に発展していくための新たな一歩を踏み出す決意を固めました。